アグネス・マーティン(Agnes Martin, 1912 - 2004)カナダに生まれ、その後アメリカに移住。ミニマル・アートの作家として紹介されるアーティストですが、工業的な素材を用いるドナルド・ジャッドやリチャード・セラ等とは異なり、全て手で描かれた細く美しいラインと淡い色彩を特徴としています。
彼女がニューヨークに住んでいた1957年から67年の間に、アド・ラインハートやエルスワース・ケリーの絵画に影響を受け、円や正方形を使用し、左右対称な構成の実験を始めました。
ニューメキシコ州タオスへ移り住んだ1967年以降、絵の中のグリッドはしばしば揺らめく霧を通して見るかのように、繊細なニュアンスを見せるようになります。それらは、淡い色彩によるうっすらと輝いているかのような透明感を感じさせます。
純粋で瞑想的でもある絵画は、マーティン自身の自然への興味(特にニューメキシコ州の砂漠の風景)と、東洋の宗教、特に道教を反映したものと言われています。
本書は、2015年にロンドンのTate Modern、2016年にデュッセルドルフのKunstsammlung NRW、ロサンゼルスのLos Angeles Country Museum of Art、ニューヨークのGuggenheim Musumを巡回した展覧会を機に刊行されました。
この展覧会でキュレーターFrances MorrisとTiffeny Bellの二人は、アグネス・マーティンのあまり知られていない初期作品からストライプや格子模様の灰色の絵画、さらに晩年の作品に至るまで、ドローイング、水彩画、マーティン自身によるテキストなどを再編し展示しました。書籍内では、作品の分脈や彼女の人生、他の芸術家との交流、南アジアの哲学に影響を受けた特定の作品、専門家らによるエッセイなども収録され、見応えあるそして美しい一冊となっています。
出版社: D.A.P./TATE
タイプ: ハードカバー
言語: 英語
ページ数: 272ページ
サイズ: 27.5 x 22 cm
状態: 新刊
その他: カラー図版160点